
泡盛の原料って、さとうきびなの?どんなお酒か詳しく知りたい。
沖縄を代表するお酒、泡盛。その原料について、このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。実は、泡盛の主な原料は、さとうきびではなく「お米」なんです。
では、なぜ「泡盛=さとうきび」というイメージがあるのでしょうか?それは、沖縄の特産品であるさとうきびが深く関わっているからです。
泡盛の原料がさとうきびだと誤解される背景には、いくつかの要因が考えられます。実際にさとうきびを原料とするラム酒や黒糖焼酎は、いずれも南国を連想させるお酒であり、そのイメージから沖縄の泡盛も同様だと捉えられたのかもしれません。また、近年沖縄ではさとうきびを原料としたラム酒の製造も盛んになり、泡盛と混同されるケースも増えているようです。
この記事では、泡盛マイスターの筆者が、泡盛の原料や特徴、焼酎や日本酒との違いまで初心者の方にも分かりやすく解説します。泡盛についてもっと深く知りたい方、泡盛をこれから楽しみたい方は、ぜひ最後までお読みください。
- 泡盛の特徴や原材料
- 泡盛と焼酎の違い
- 泡盛と日本酒の違い

この記事は沖縄移住生活13年、泡盛酒造での勤務経験もある泡盛マイスターのももとが書いています。

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目次
泡盛の原料はさとうきびではなくタイ米

冒頭でも述べましたが、泡盛の原料はさとうきびではなく、主にタイ米です。
ここでは泡盛の原料について、タイ米を使用する理由や、逆にさとうきびを使ったお酒について解説します。
- 泡盛の原料は主にタイ米
- 泡盛はなぜタイ米を使うのか
- サトウキビを原料とした酒は?
- 黒糖を原料にした泡盛はある?
泡盛の原料は主にタイ米
泡盛の原料は、主にタイ米(インディカ米)です。独特の香りと風味は、このタイ米に由来しています。さとうきびと誤解されることが多いのですが、泡盛は米を原料とした蒸留酒です。
なぜ誤解が多いのかというと、沖縄ではさとうきびが特産品であり、ラム酒など、さとうきびを原料としたお酒も存在するため、混同されやすいことが考えられます。
また、泡盛の銘柄によっては、沖縄県産の国産米を使用しているものもあります。近年では、地元産の米にこだわる酒造所が増えており、それぞれの米の特性を生かした個性豊かな泡盛が生まれています。原料米の違いによって泡盛の味わいは大きく変化するので、ぜひ飲み比べて、お好みの泡盛を見つけてみてください。
泡盛はなぜタイ米を使うのか

泡盛の原料にタイ米を使用する理由はいくつかあり、その特性が泡盛造りに非常に適しているからです。
- 硬質で扱いやすい
- 発酵過程の温度管理がしやすい
- 多くのアルコールを生み出す
- 泡盛に豊かな香りを加える
- 黒麹菌が糸を伸ばしやすい
- 安価である
まず、タイ米は硬質で扱いやすく、蒸す際に崩れにくいという特徴があります。これにより、均一な蒸し米が得られ、安定した品質の泡盛を造ることができます。
また、発酵過程における温度管理がしやすいという点も重要です。泡盛の製造には黒麹菌が使われますが、タイ米は黒麹菌が糸を伸ばしやすく、米麹の段階でサラサラとした状態になるため、混ぜやすく、温度管理がしやすいのです。
さらに、タイ米は他の品種の米よりも多くのアルコールを生み出すことができます。これは、泡盛のようなアルコール度数の高いお酒を造る上で非常に有利です。
そして、タイ米は泡盛に豊かな香りを加える役割も果たします。タイ米特有の香りが、泡盛の風味に深みと複雑さを与え、独特の味わいを生み出します。
これらの理由から、タイ米は泡盛造りに欠かせない原料となっています。
サトウキビを原料とした酒は?

さとうきびを原料とした代表的なお酒といえば、ラム酒とカシャッサです。どちらもカリブ海や南米を中心に、世界中で愛されています。
ラム酒は、ジン・ウォッカ・テキーラと並ぶ「4大スピリッツ」のひとつであり、さとうきびの搾り汁や糖蜜を発酵・蒸留して造られる蒸留酒です。その起源は17世紀のカリブ海地域に遡り、プランテーションで働く労働者たちが、さとうきびの搾りかすから酒を造ったのが始まりと言われています。
沖縄でもラム酒を製造している酒造があり、沖縄では、伊江島蒸留所の「イエラム サンタマリア」やグレイスラム(南大東島)、ヘリオスラム(名護市)などが有名です。
カシャッサは、ブラジルを代表する蒸留酒で、さとうきびの搾り汁のみを直接発酵・蒸留して造られます。ラム酒との違いは、主に原料と製法にあります。ラム酒が糖蜜を原料とするのに対し、カシャッサはさとうきびの搾り汁をそのまま使うため、よりフレッシュでフルーティーな風味が特徴です。
ブラジルでは、カシャッサは国民的なお酒として親しまれており、特にライムと砂糖、カシャッサを混ぜたカクテル「カイピリーニャ」は、世界的に有名です。
ラム酒とカシャッサは、どちらもさとうきびを原料とするお酒ですが、その風味や文化的な背景は大きく異なります。ぜひ飲み比べて、それぞれの魅力を発見してみてください。
黒糖を原料にした泡盛はある?

黒糖を原料にした泡盛はありません。泡盛の定義のひとつに米を使用していることがあるからです。
黒糖を原料としたお酒には、黒糖焼酎があります。
黒糖焼酎は、鹿児島県の奄美群島だけで製造が認められている、黒糖を原料とした蒸留酒です。米麹と黒糖を原料に、独特の風味とまろやかな甘みが特徴です。飲み方は、ロック、水割り、お湯割りなど、様々な飲み方で楽しめます。
また、泡盛ではありませんが、沖縄には「イムゲー」と言う、メインの原料は芋ですが、一部に黒糖を使用しているお酒があります。
昔の沖縄では、1898年以前は法律で禁止されていなかったので、人々は家で焼酎を造っていました。その頃、主食だった芋を主な材料にして、発酵を助けるために黒糖を混ぜて造られていたのが芋酒(イムゲー)というお酒でした。
現在、沖縄を代表するお酒といえば泡盛ですが、昔は米から造る泡盛はとても高価で献上品に使われるような特別なものでした。そのため、庶民は手に入りやすい芋や黒糖を使って、イムゲーを造って飲んでいたのです。
つまり、イムゲーは、泡盛が庶民の間で広まる前から、沖縄の人々に親しまれていた、家庭で作る焼酎だったのです。
泡盛の原料はさとうきびではない!泡盛の特徴

ここでは泡盛の主な特徴を紹介します。
泡盛は蒸留酒
泡盛は、米を原料とする沖縄特産の蒸留酒です。蒸留酒とは、醸造酒を蒸留してアルコール度数を高めたお酒のことで、泡盛は焼酎の一種に分類されます。
泡盛の製造方法は、まず米と黒麹菌、水を混ぜて発酵させ、もろみを作ります。このもろみを蒸留器で加熱し、蒸気を冷却することでアルコール濃度の高い液体を取り出します。これが泡盛です。
泡盛の特徴は、原料にタイ米を使用すること、黒麹菌を使うこと、そして単式蒸留器で蒸留することです。これらの要素が組み合わさることで、泡盛独特の風味と香りが生まれます。
泡盛は、その歴史や製法、風味の独自性から、沖縄の文化を代表するお酒として、国内外で多くの人に親しまれています。
泡盛の度数
泡盛のアルコール度数は、一般的には25度から45度の範囲で、平均的な度数は30度前後です。しかし、中には60度を超える非常にアルコール度数の高い泡盛も存在します。
泡盛の度数は、製造方法や熟成期間によって異なります。例えば、古酒(クース)と呼ばれる長期熟成された泡盛は、40度を超えるものが多く、芳醇な香りと深い味わいが特徴です。また、花酒と呼ばれる与那国島の泡盛は、60度と非常に高いアルコール度数を誇り、独特の風味があります。
泡盛の度数は、飲む人の好みやシーンに合わせて選ぶことができます。アルコール度数の高い泡盛は、ロックやストレートでじっくりと味わうのがおすすめです。一方、アルコール度数の低い泡盛は、水割りやお湯割り、カクテルなど、さまざまな飲み方で楽しむことができます。
泡盛と焼酎の違い

泡盛も焼酎も米を原料とした蒸留酒ですが、違いは以下のとおりです。
- 米の種類や麹菌の違い
- 仕込み方(発酵のさせ方)が違う
- 蒸留方法の違い
泡盛は、主にタイ米を原料とし、黒麹菌を使用して仕込みますが、米焼酎は、日本米を原料とし、白麹菌や黄麹菌を使用することが多いです。
焼酎でも黒麹菌を使用する芋焼酎等はありますが、泡盛は黒麹菌を使用することが泡盛の定義にもなっているので、黒麹菌以外が使用されることはありません。
泡盛は全麹仕込みという製法で、米麹と水、酵母のみで発酵させます。一方、焼酎は、一次仕込みと二次仕込みという2回に分けた工程を経て発酵させます。
仕込み方法の違いには、沖縄の気候が大きく影響していて、もろみの腐敗を防ぐために泡盛にはこの方法が取られています。泡盛と米焼酎、同じ黒麹菌を使っていたとしても仕込み方法が違うのです。
①一次仕込みで米麹を原料にもろみを作り発酵させる(←泡盛は①だけ)
②二次仕込みは一次仕込みでできたもろみの中に炊いた米を追加する
③更に発酵させる
泡盛と焼酎は、蒸留方法も違います。泡盛は、単式蒸留器で蒸留しますが、焼酎は、単式蒸留器または連続式蒸留器で蒸留します。
単式蒸留器は、釜、蒸留塔、冷却器というシンプルな構造をしており、釜にもろみを入れ、加熱して蒸発させ、蒸気を冷却して液体に戻します。
一方、連続式蒸留器は、複数の蒸留塔が連結された複雑な構造をしており、もろみを連続的に供給し、連続的に蒸留を行います。これにより、蒸留が連続的に行われるため、効率的に大量の蒸留酒を製造できます。
蒸留方法の違いは、風味に大きな変化があります。単式蒸留器では原料由来の成分や香りが残りやすいのが特徴で、連続式蒸留器ではニュートラルなものになりやすくなります。
泡盛と日本酒の違い

泡盛と日本酒は、どちらも米を原料とするお酒ですが、製法や味わいにおいて大きく異なります。それぞれの違いを分かりやすく解説します。
沖縄県の特産品である泡盛は、沖縄の温暖な気候と風土の中で育まれた独自の文化的な背景を持ちます。一方、日本酒は、日本各地で製造され、地域の風土や文化を反映した多様な銘柄が存在します。
- もろみを蒸留してアルコールを取り出す蒸留酒
- 原料はタイ米と黒麹菌を使用
- アルコール度数は25度~45度程度
- 単式蒸留器で蒸留するため、原料の風味が残りやすい
- もろみをろ過してアルコールを取り出す醸造酒
- 原料は日本米と黄麹菌を使用
- アルコール度数は15度~17度程度
- 米の旨味と甘味が凝縮された繊細な味わい
泡盛の原料はさとうきび?のまとめ
この記事のポイントをまとめます。
- 泡盛の原料はさとうきびではなくタイ米
- タイ米を使用する理由はその特性が泡盛造りに非常に適しているから
- さとうきびを原料にした酒にはラム酒とカサッシャがある
- 黒糖を原料にした酒は黒糖焼酎がある
- イムゲーには原料の一部に黒糖が使用されている
- イムゲーはかつて沖縄で庶民の酒だった
- 泡盛は蒸留酒でアルコール度数は一般的には25度から45度
- 泡盛と焼酎の違いには、麹菌や仕込み方法がある
- 泡盛と日本酒の大きな違いは、泡盛は蒸留酒で日本酒は醸造酒
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